第11章 盗人騎士と病室の姫
「ねえ、これはどーお?」
「ちょっと派手すぎます…。」
「じゃあ、これは?
すっごくいいと思うな~っ。」
「わあ、ホントだ可愛い。」
「でしょっ。ね、着ておいでよっ。」
與儀さんが選んでくれた服を手に、試着室へ向かう。
今日は街に来ている。
どうしてかというと、さかのぼること数時間前。
あれから2日後。
「みんなぁ、今日は街に降りるよぉっ。」
突然言いだした與儀さん。
「街にですか?」
「うんっ!
平門さんがね、街に行って松岡ちゃんに新しい服を買ってやれって。
今までは艇にある服だったからね~。」
「そんなこと、いいんですか?」
「ええ、これからここで過ごす準備は必要でしょう?
色々揃えないと。」
「嬉しいな…っ。
ありがとうございますっ。」
「よぉーーし、皆で街に出っっ発ーーっ!!」
ということで、街に降りたった。
ツクモは用事があると別れたけど
花礫くんに无ちゃん、それに與儀さんは私の洋服選びに付き合ってくれている。
「どうでしょう…?」
與儀さんが選んでくれたのは、白とピンクのニット。
「うんっ、松岡ちゃんのイメージとピッタリっ!
ね、2人ともっ?」
「うん、ふわふわしてかわいいよっ。」
「いいんじゃね?つか、終わったんならさっさと次行こうぜ。」
「も~おっ、花礫くんってぱ。
じゃあ、俺お会計してくるから待ってて。」
「與儀さん、ありがとうございましたっ。」
お会計を終えた與儀さんにお礼を言い、店の外に出た時…
「わぁっっ!!?」
突然誰かがぶつかってきた。
「ダイジョブか?」
よろめいた私を支えてくれたのは花礫くん。
「ありがとう、花礫くん…」
「そいつ捕まえてくれーーー!!!」
「え?」
声のする方を見ると、さっきぶつかった人を指さしておじさんが叫んでいる。
「泥棒だー!!
俺の金、盗みやがったっっ!!」
「ど、泥棒っ!?」
「花礫くん、松岡ちゃんと无ちゃんお願いねっ。」
勢いよく飛んだ與儀さんは逃げていった人を取り押さえた。
「輪《サーカス》の目の前で悪事は困るんだけどっ?」