第8章 役目
「ほっほっ、可愛えのぉ。
花礫の彼女か~?」
「か、彼女っ!?」
(いきなり何を…っっ!??)
「んな訳ねーだろ、ついにボケたかジジイ。」
「そうですよ療師っっ!!
花礫くんと松岡ちゃんがそんな…
2人共まだ子供なんだからっ!!」
「そんなの関係ないのぉ。
恋愛に若さはつきものと言うじゃろう。」
(そういう問題なのかな…?)
「さすが療師。おっしゃることに重みがあられる。」
「平門さんまでーっ!冗談でもそんなこと…」
「なんじゃ與儀?そんなに必死になって。」
「え?…あれ、俺なんでこんな必死なんだろう…?」
療師の言葉に與儀さんの頭ははてなマーク。
「つーか與儀、お前今俺のことガキ呼ばわりしただろ。ぶっ殺すぞ。」
「い、いや、待って待って花礫くん!待ってってば…
いやぁーーーっっ!!!」
髪の毛をわし掴んだ花礫くんと逃げられなかった與儀さんはテーブルから離れてじゃれあい(?)だした。
「やっぱりガキじゃのう。よっこいしょっと。
松岡、ごちそうさま。うまかったぞ。」
「俺も仕事があるからごちそうさま。
ああ、さっきの花礫の質問だけど…
療師は何かあれば診て下さるが、療師の負担を軽くするためにその何かを防ぐのが君の仕事だ。
解るか?」
「えっと…
風邪をひいたら診るのは療師だけど、そもそも風邪をひかないように体調管理をするのが私の仕事
…ってことですよね?」
「そういうこと。物分かりがいい子だ。
じゃあ、遅くならないようにな。」
「おやすみなさい。」
療師の後を追うように、平門さんも部屋から出ていった。
それからしばらくしてお鍋を食べ終わり、
皆それぞれ部屋に帰って行った。
私は後片付けをするために台所へ。
「ふう…」
(長い1日だったなあ…。)
絶望的だった朝とは違い、今は何とも言えない幸せな気分で満たされている。
(ここに居ていいんだな…。)
改めて考えると本当に凄いことで、まだ実感が湧かない。
「終わったメェ。」
「ありがとう、羊さん。」