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カーニヴァル~與儀~

第8章 役目


「そんなことでいいんですか…?」



もっとキツい仕事を言われると思っていた私は思わず聞き返した。




「結構大変だと思うがな。
やりたいならもっと増やしてもいいぞ?


…皆でいる時間が減るだろうが。」


横目で與儀さんを見る。



「だめっ!絶対だめだよっっ!!

それで十分でしょっ、平門さんっ!!」


「…だそうだ。
やってくれるね?」



話だした時とは違い、少し黒い笑顔の平門さん。




(なんだか、平門さんに転がされてる気がする…。


でも、せっかく考えてくれたんだもんね。

ちゃんとお仕事をこなせるようになったら、他のこともやればいいかな…。)



「分かりました、よろしくお願いしますっ。」


「交渉成立。これで晴れて君も貳號艇の一員だな。」


「一員か…。」


「またいっぱい遊ぼうねっ!

松岡ちゃんが体調管理してくれたら、絶対安心だろうなぁーっ。」


「見かけによらず案外厳しいかもよ?」


「そんなことないよぉ、花礫くん。
ね、松岡ちゃんっ!」


「あ、でも、やるからにはしっかり頑張ります…っ。」


「え…?
ま、まあ、そんなに気張らないでも…。」


「真面目そうだし、もしかしたら第2の燭サンになったりしてな。」


「え、えええ??平門さんっ!?何言って…っっ?」


「燭先生みたいになれるかは分かりませんけど、出来る限りやってみますねっ。」


「いやいや、ならなくていいからぁ~っ!!」



お箸を置いて椅子の影に隠れる與儀さん。



「…つーか、体調管理って療師(りょうし)が居んじゃねーの?」

「療師?誰ですか…?」

「療師は貳號艇の船医だ。腕は確かだが、少々変わった方で…おや、噂をすればだな。」


平門さんの視線を追ってドアを見ると、ひげを生やしたおじいさんが立っていた。



「誰が変人じゃと、平門?」

「おや失敬。口が滑って…いえいえ、何かご用ですか?」

「聞こえとるわいっ。夜食を食いに来ただけじゃが…

お、その子が例の子かの?」



療師と呼ばれる人は、長いひげを触りながら私を見た。



「そうです。松岡と言いましてね。」


「ほう、よい名前じゃ。
よろしくの、松岡。」


「よ、よろしくお願いします…。」

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