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カーニヴァル~與儀~

第8章 役目


「おれ、おなかペコペコっ。」



无ちゃんに手を引かれ、広間へ向かう。



「ねえ、ご飯って…羊さんは?」

「ひつじさんはねぇ、しゅー…り?っていうのでいないんだよ。」

「あれ?でも、もう帰ってきてたんじゃ…」

「メンテナンスを受ける筈の羊が1匹足りなくてね。
どうやらあの子みたいだ。」

「平門さんっ?」


部屋に入ると、平門さんとツクモが出迎えてくれた。



「松岡…っ!」

「わ…ツクモ?」



无ちゃんの次はツクモに抱きつかれる。



「…どうして勝手に出ていったり…」

「…ごめんねツクモ…。ごめん…。」



ゆっくりと体を離す。



「…でも、もうどこにも行かない…

行きたくないの。ここに居たい。」


しっかりと伝える。


「当たり前よ…そうでしょう、平門。」



隣にいる平門さんを見上げる。



「ああ、何の問題もない。
しいて言うなら、君がいないと内の子達が機能しないことの方が問題だ。」

「…そんな、大袈裟ですよ…。」

「そんなことないわ。
松岡は私達に必要な存在よ。」

「ツクモ…」


ぐー


「あ…」

「あはは、ごめんツクモ。
急いで何か作るね。」



顔を真っ赤にしたツクモを置いて、慌ててキッチンへ行った。





(必要な存在か…

…私もそうだよ。


皆がいないとだめみたい。)






適当に冷蔵庫にあるものを詰め込んで、お鍋を作った。


「お待たせしましたっ。」

「うわぁ、おいしそうっ!
いただきまーすっ!」

「ほう、いい匂いだ。
どれ、俺も頂こうかな。」

「どうぞ。お口にあうか分かりませんが…

そういえば、與儀さんは?」

「あそこよ。」



ツクモが指指したのは部屋の隅。


「なんであんな所に…。」

「なんかね、みんなひどい、ほっていかれたっていってたよ?」

「あ…そういえば…。」



花礫くんに蹴られた與儀さんを放って来たことを思い出す。




「與儀さん…?」


近くへ行って話しかける。


「…いいんだもん。どーせ、皆俺のことなんて…。
どーせ、どーせ…。」



(めちゃくちゃいじけてるー…っっ。)



「そんなこと言わないで、一緒に食べましょう?
ほら、冷めちゃいますし…。」

「ぶー…。」

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