第7章 ホントの気持ち
「平門さんっ!!!」
出口には、既に帰ってきた平門さんの姿が。
「皆揃ってどうした?」
「どうしたじゃないですよっ!!
どうして、松岡ちゃんを…っっ!!」
「彼女が頼んできたんだ。今降ろしてほしいと。」
「っっ!そんな…っっ!」
「だからって降ろすことないわ!
まだちゃんと話もしてないのに…っっ。」
「仕方ないだろう。これが彼女の意思だ。」
「ぁ…」
(それが、君の意思…。
もう、会えない?
もう、一緒に…)
「そんな…」
膝をつく。
皆が希望を失った…
その時。
「…私、最低だね。」
突然彼女の声が聞こえた。
「え…」
驚いて顔を上げ、声の主を探す。
「あんな酷いこと言っちゃった。
嫌われたよね。」
「无ちゃん…?」
声がするのは无ちゃん…
が抱えている羊さん。
「羊、さん…?」
「このひつじさん、どうしたんだろう…。」
皆の疑問を気にすることなく、松岡ちゃんの声をした羊さんは話続ける。
「…私ね、ホントは家になんか帰りたくない。
帰ったって、仕事でお父さんもお母さんも外国にいるから。」
始めて聞く話。
それから羊さんが話したのは
村に居たいと残ったけど1人が淋しかったということ。
その淋しさを我慢してて、でもその我慢を馬鹿みたいだって自分を責めてた。
…自分のわがままだって。
(わがままだなんて、そんなことないのに…。)
「…そんな時にね、皆に会ったの…」
俺達のことを話し出す。
少しずつ小さくなっていく声に耳を必死に傾ける。
「…真面目で完璧なツクモ…。
それ、に……」
(それに…?
俺のこと、どう、思ってる…?)
その先を聞きたくてたまらない。
「…それに、與儀さん。
ずっと側にいてくれた…。
あの笑顔に何度も元気をもらったの。
それなのに、私…っ。」
(泣かないで…。)
強くなる思い。
「ホントは、関係ないなんて思ってないっ。
皆、大事な人だから…っ。
ずっとここにいたいよぉっ…。」
(それが、君のホントの気持ち…?
なら、俺に出来ることは1つだ…。)
「平門さん…」