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カーニヴァル~與儀~

第2章 輪《サーカス》


一通り思いだし目を開けると、

さっきの男の人の顔がない。


(あれ?)

不思議に思って顔だけ横に向けると3人男性がいて、
その内2人が何かを言い合っている。


「與儀(よぎ)、意識が戻ったんじゃなかったのか?」


「ホ、ホントですよぉ!ホントに目を開けたんですってばぁ!!」


「全く、わざわざ私が出向いてやったというのに…
とんだ無駄足だったな。」

「そんなぁぁぁ…」


(意識が戻ったって…、私のこと、かな…?)

自分のことで言い争いが起きているのなら、與儀と呼ばれる人を助けなければいけない。

そう思って口を開こうとするけど、
パクパクするだけで声がでない。

(何で!??)

もどかしさに焦っていると、
まだ言葉を発していなかった男性と目があった。


(あ…この人あの時の…)


メガネをかけ帽子を被っているその男性は、
ニコッと微笑むと


「まぁ燭(あかり)サン落ち着いて。
どうやら與儀の言っていることは本当みたいですよ。」


と白衣の男性に言った。


2人の視線が私に向く。



(あ…)



さっきは気づかなかったけど、

與儀と呼ばれ私の顔を覗きこんでいたのは
私を助けてくれた張本人。

(助けてくれた金髪の人…)


やっぱり整った顔立ちだと思い見つめていると

「良かったぁぁぁーー!!
気がついたんだねぇぇーー!!!」


と物凄い勢いで抱きついてきた。

「ええっ!!?」

あまりの驚きに声がでた。


(あっ、声が…)



「うるさい。ここは病室だぞ。
それにその子も困っているだろう。」

イライラしながら與儀さんともめていた男の人が言った。


(この人は知らないな…
あかり…さん?だっけ…)


燭さんと呼ばれるその人は、
ピンクと薄茶色の髪の毛で白衣を着ている。

(お医者さん…だよね?
今病室って言ってたもんね…)



「あっ、そうですよね…
ごめんね?」

與儀さんはそう言って私から体を離した。



「あの…、ここは…??」

不安げに尋ねる私に、「安心して」と言うと
與儀さんは説明してくれた。



「ここは輪《サーカス》!」




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