第6章 残りの時間
(今何時だろ…。)
部屋に戻った私は、特に何をするでもなく
ただベットに横になっていた。
(お腹、空いたな…。
お昼から何も食べてないや。)
ゆっくりと起き上がる。
コンコン
「ご飯だメェ」
「…羊さん?」
立ち上がりドアを開ける。
「修理はもう終わったの?」
「…。」
羊さんは何も答えず、机にお盆を置いてくれた。
「ありがとう。」
「元気だすメェ。」
「え…」
(…羊さんにまで気を使われるなんて、
ホントに何してるんだろう…。)
羊さんを抱き上げ、ベットに座る。
「どうしたメェ?」
「ちょっとだけこうさせて。」
そう言うと羊さんは黙った。
「…私、最低だね…。
與儀さんにあんな酷いこと言っちゃった。
…嫌われたよね。」
羊さんを抱き締め直す。
「…私ね、ホントは家になんか帰りたくない。
帰ったって、お父さんもお母さんもいないから。
もう何年も前からお仕事で外国に行っててね。
もちろん一緒においでって言われたんだけど、あの村を離れたくなかったんだ。
何にも無いから隣街まで買い物に行かなきゃだけど
自然は豊だし、村の人達は皆いい人ばかりなんだよ。
だから、そこから出たくなかった。
…でもね、やっぱり淋しかったの。
当たり前だけど、「おはよう」って言っても返ってこないし、「ただいま」って言っても「おかえり」は無い。
ご飯だって、ずっと1人で食べてたんだよ。
凄く淋しかった。
馬鹿だよね…
…でもね、自分が決めたくせに「淋しい」なんて弱音は吐けないよ。
それじゃ、ただのわがままだから…。」
(私、何でこんな話…。)
そう思っても止まらない。