第6章 残りの時間
「お、れ、の、チャーハン~。
おれのチャーハン~。」
「うっせぇぞっ。変な歌うたってねーで静かに食えよ。」
「うーふーふー。花礫くんってば、松岡ちゃんが俺のために作ってくれたからって拗ねないでよぉっ。」
「意味わかんねぇ…。
お前、このチャーハンに何か入れたんじゃねーの?」
「ええっ?何にも入れてないよぉ…。」
ありあわせで作ったチャーハンなんだけど、
自分が食べたいって言ったものを作ってくれたって與儀さんはすっごくはしゃいでる。
(嬉しいんだけど、そんなに喜ばれるとなんだか恥ずかしいよ…。)
フンフンと鼻唄を歌いながら、1口、また1口とほお張っていく。
見事な食いっぷりに見入っていると、平門さんが入ってきた。
「いい匂いがするな。」
「あっ、平門さんっ!松岡ちゃんがお昼ご飯作ってくれたんですよっ。」
「それは良かったな。
ところで、全員揃っているか?」
「揃ってるけど…何かあったの?」
「これから、松岡が住んでいた村へ向かうぞ。」
「っ!?それって…。」
ツクモが驚いた顔をする。
「どういうこと?」
「バカ无。…松岡がその村に帰るってことだよ。」
「どうしてっ!?おれたちおわかれなのっ!?」
「まあ落ち着いて。
…ん、どうした與儀?何か言いたそうだな。」
いつ切り出そうかとタイミングを図って口をパクパクさせていた與儀さんに、平門さんが話を振る。
「あっ、平門さんっ!松岡ちゃんの気持ちを聞きましょうよっ!」
「気持ち?」
「そうですっ!もし松岡ちゃんがここに居たいと思うなら、居てもらいましょうよっ!」
いいアイデアだと言わんばかりの與儀さんに平門さんは一瞬キョトンとしたが、
「燭サンか…。」
何かを察した様子だった。
「…まあ、構わないが。」
「ホントですかっ!??
やったぁ、これでこらからもここに居られるねっ!」
與儀さんが私の手を掴む。
「ここに、居られる…?」
(これからも?
それは…
違う。
私は…)
「…私はここには残りません。」