第5章 落ち着く
「まだかな…。」
艇に戻り晩ごはんを食べ、各自部屋に戻った…
んだけど、私は1人広間に来ていた。
「もしかして、今日は来ないのかなぁ?」
ソファに座りドアを見つめる。
「ふあぁぁ…。」
(あくびでちゃった…。)
落ちてきたまぶたをこする。
コツ、コツ、コツ…
「あっ…」
(来たかな?)
「ん、明かりがついてる…
あれ?松岡ちゃん??」
「こんばんは、與儀さん。」
そう、私が待っていたのは與儀さん。
「どうしたの?こんな遅くに…。」
「えへへ、ちょっと眠れなくて。
あ、ここ座って下さい。」
與儀さんが隣に座ると、私は席をたつ。
「ちょっと待ってて下さいねっ。」
広間にある小さなキッチンに行き、温めてあったココアをコップに入れる。
自分の分と、與儀さんの分。
(與儀さん、眠れないって言ってたからな…。)
羊さんに聞いた話では、ここ最近ずっと広間に来て時間を潰していたらしい。
「はい、どうぞ。」
「えっ、何これ…ココア?
どうして??」
「なんだか無性にココアが飲みたいなぁ~と思って。」
「わぁ、ありがとうっ。
俺、ココア好きなんだぁー。」
與儀さんはココアを口へ運んだ。
「うんっ、おいしい。」
「よかったですっ。
今日はお疲れ様でした。」
「松岡ちゃんも、お疲れ様っ。
楽しかった?」
「はい、すごく。」
「よかったぁ~。俺も楽しかったなぁ~。」
「ニャンペローナって、ホントに人気なんですねっ。」
「えへへ、照れるなぁ。
でも、今日は松岡ちゃんも凄い人気だったねっ。」
「そうでしたか…?」
「うんっ。可愛くて、皆見いってたよっ。」
「ホントですか?
…よかったぁ。ちょっと心配だったんですよ。
似合ってないかなって…」
「そんなことないよ。
凄く似合ってた。俺もドキドキしたもん。」
「ドキドキって…」
「あ、照れてるの?
かーわいいなぁ~。」
「もう、からかわないで下さいっ。
ココアのおかわり入れてきましょうか?」
「あ、うん。ありがとっ。」
またキッチンへと向かった。
「からかってなんかないのになー。
ホントに可愛かったのに…。」