第4章 パレード
「喜んでもらえてよかったぁっ!
早くパレード始まらないかなぁ~っ。
あっ、花礫くん、无ちゃん、こっちおいでっ。着替えるよっ!」
「私たちも行きましょう。こっちよ。」
「うんっ!」
ツクモに連れられ、テントの中に入った。
「はい、これが松岡のよ。」
「ありがとう。
…でも、こんな可愛い服着るの…?」
ツクモにもらった服は、ピンクの生地に白のレースが施されたバルーンワンピース。
「すごく似合うと思う。」
「そうかなぁ…。」
「ええ、本当よ。少し冷えるから、このカーディガンをはおうといいわ。
着替え終わったら與儀たちと合流してね。」
「…ありがとう。
ツクモ、ショー頑張ってねっ!」
「ありがとう。」
ニコッと微笑むと、ツクモは出ていった。
「…よぉーし。」
着替えた私はテントの外に出て、皆を探した。
(どこだろう…?)
「松岡ちゃんっ!」
「あっ!无ちゃん、花礫くんも…
どうしたのその格好??」
「どう?にあう??」
「うんっ!凄く可愛いよ。」
无ちゃんはタキシードに蝶ネクタイ。
「ほんとに?ありがとうっ。」
「あ…花礫くん??」
「うっせえっ!
アイツに無理矢理着せられたんだよっ。」
明らかに不機嫌な花礫くん。
だって花礫くん、
猫耳つけてるんだもん…。
「か、かわいい…」
「あぁっ??」
「な、なんでもないですっ!」
「くそっ。あのハゲ…。」
「ハゲって…あ、あれ?ねぇ、與儀さんは…」
そう言いかけると同時に奥の方で誰かが手を振っているのに気づく。
「おぉーーーいっっ!!
みんなぁぁーーーーっっ!!」
「誰?」
(…人?いや、違う。)
こっちに向かって走ってくる“誰か”は、
人と言うよりはむしろ大きなぬいぐるみ…
「あっ、よぎっ!
どこいってたの?」
「えっ!與儀さん???」
「あっ、な、无ちゃん!?い、今與儀って!??
えっ、えっと…
お、オホンっ!」
(な、なに??)
大きなぬいぐるみは咳払いをして私に向き直ると、
ポーズを決めてこう言った。
「俺の名前はニャンペローナっっ!!」