第4章 パレード
與儀さんの呼びかけから数分後、私たちは廊下を歩いていた。
「そういえば、この艇(ふね)はどこに停めてあるんですか?
あの街って海とかありましたっけ?」
「なに言ってるの松岡ちゃん?
この艇は街の上に停めてあるんだよ。」
「…え?街の上??
それってどういう…」
「この艇は空を飛んでるんだっ。」
「ええぇっ!??」
当たり前のように言った與儀さんの言葉にビックリする。
「と、飛んでるんですか?
私たち、飛んでるですか??」
「そうだよ~。
あれ?言ってなかったっけ??」
「言ってませんよぉっ!
…もぅ、輪《サーカス》凄すぎます…。」
「えっ、怒ったの!?俺ちゃんと言わなかったから??
ご、ごめんねっ!怒んないでっっっ!!」
「うっせぇぞ。」
「これは私も與儀が悪いと思うわ。」
「花礫くんっ?ツクモちゃんまでっっ!?
ほ、ほんとにごめんってばぁっ…。」
「よ、與儀さん!?泣かないで下さいよっ。
別に怒ってませんからっ。
…あ、でも、どうやって街に行くんですか?
艇ごと降りるとか?」
「…え?
えっと、それはね…」
與儀さんは言葉を濁す。
「??」
「艇は降りないわ。私たちが飛ぶのよ。」
「…え?飛ぶ…???」
「さあ、こっちにきて。」
言われるままにツクモの側へ行く。
「しっかり掴まっててね。」
「ツクモ?飛ぶってまさか…」
私が言うよりも早く、ツクモは私を抱きしめて艇から飛び降りた。
「い、いやぁぁぁぁぁ~~~~っっ…」
「大丈夫よ。ちゃんと掴まって。」
がっしりとツクモにしがみつく。
怖くて目も開けられない。
(助けてぇ~~っ!!)
少しずつ、風を切っている感じが弱くなる。
ゆっくりと足が地面についた。
「ついたわ。目を開けてみて?」
「…」
言われるまま目を開ける。
「うわぁ、きれい…」
見ると、街はたくさんの光で輝いていた。
「でしょ~?
今日のパレードのために用意したんだよっ!」
花礫くんと无ちゃんを抱いて、與儀さんも降りてきた。
「與儀さん、ツクモ、あんな言い方してごめんなさいっ。
連れてきてくれてありがとうっ。」