第3章 貳號艇
「松岡ちゃんって、16歳だったんだね~。」
與儀さんは意外だという感じで言った。
「なら、私と同じね。」
突然後ろから声がした。
驚いて振り返ると、
(うわぁぁ!!可愛いぃっっ!!!)
目を奪われた。
そこに立っていたのは、淡い金髪の髪を左右でくくった、紫の瞳の女の子。
「私はツクモ。よろしくね。」
「あっ、わたしっ、松岡ですっ!
よ、よろしくお願いいたしますっっ!」
ツクモちゃんがあまりに綺麗でスタイルも抜群で、変な言葉になる。
(絶対同い歳じゃないよぉーーっ!!)
「可愛い子ね、與儀。」
「でしょーー!!
俺もそう思うのーー!!」
「か、かわ、可愛いなんて、ツ、ツクモちゃんみたいな人のことを言うんですよっっ!!」
ツクモちゃんはクスッって笑うと、
「ツクモでいいわ、松岡。」
って言ってくれた。
(しかも、優しいんだ…。)
こんなに完璧な女の子は見たことがない。
「…よろしく、ツクモ…。」
すっごく照れたけど、仲良くなれそうな気がした。
「もうすぐご飯ね。
…花礫くんは?」
「さっき出ていっちゃったんだよ~。
きっと、松岡ちゃんが花礫くんより歳上だったのが悔しかったんだねー。」
「えっ、花礫くんって私より歳下なんですか??」
「そうよ。だって彼、15歳だもの。」
「えええっ!!み、見えない…っ!」
「あはは、だよねー。21の俺より大人っぽいもんね。」
「に、にじゅういちっっ??」
「え、そうだよ?
そんなに驚く??」
「ハハ、見えない…。」
ここにいる人たちはもう、みんなスゴすぎる…
唖然としている私の横では、
「見えないっ!?なんか、ちょっとショック…。」
「気にすることないわ、與儀。本当のことですもの。」
「…ツクモちゃん、それフォローになってないよ…?」
なんて会話が。
「…フフっ。ここは、楽しい人たちがいっぱいなんだね。」
おもわず笑みがこぼれた。
「うん!みんな、すっごくおもしろくて、たのしいんだよ!」
「そっか。无ちゃんはみんなのこと好きなんだね。」
「うん、すきっ!!だから松岡ちゃんにもみんなのことすきになってほしい!」
「…うん、きっとなるよ。」
(きっと…)
そんな気がした。