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【薄桜鬼】桜飴 (短編集)

第2章 山茶花(サザンカ)-風間千景-


唇が離れて行く様をじっと見つめていた私は、風間様の頭がやっと元の高さまで戻ってやっと、思考が再稼働し始めた。

今…私…風間様と唇を…?

かーっと顔に熱を持つのがわかる。

思わず指で自分の唇を確認していれば、くくくと笑う風間様の声が聞こえた。

そうだった!風間様!

と、今の今まで唇を合わせていたというのに、その突然の行為に驚きすぎて、風間様がこの場にいらっしゃることを忘れてしまっていた。

風間様を再び見上げれば、そのお姿は鬼のお姿のままで…

「綺麗…」

と、思わず呟いてしまう。

「、鬼を怖いと思うか?」

まるで突き刺されてしまいそうなほど鋭いその瞳は、怖くないと言ったら嘘かもしれない。

銀色にさらさらとなびく髪…頭の上には角があって…

私の体などは、ひょい、と軽々持ち上げて、空想かと思うほど飛び上がる事が出来て…

きっと私の知らないお力を秘めているのだと思うけれど…

「怖くないです…」

お伽話の鬼は酷く醜く恐ろしいけれど…私の目の前にいる鬼は…

「とても綺麗で美しくて…とっても優しい…」

風間様の瞳に私が映ってるのが見える。

「風間様…お会いしたかった…」

鋭い綺麗な瞳から視線をそらす事が出来ず、自分ではもう抑えることが出来ないほどに、風間様への気持ちが溢れてくる。

勝手に溢れる気持ちと涙で、視界がぼやけてしまった頃…再び風間様は私に口づけをしてくれた。
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