第1章 出会いはさようならから
何が嫌か、と言われたらよりによって相手がヤクザな事。
膨大な慰謝料を要求されるから、それをどうやって工面するか…。
実のところ、私と旦那は政略結婚をした。
私も旦那も料理一族の生まれで、一流パティシエール(パティシエの女性名)である私と、一流フレンチシェフである旦那の結婚だから、金はある。
でも、相手はヤクザでしょ?
店はたっぷり持ってるけど、最近景気が良くないせいで、億単位となれば流石に親戚に土下座しないと。
ま、結局の所、私は旦那を愛してない。
尊敬はする、ただの相棒ってとこだね。
それが原因で、旦那は浮気をしたから、私にも責任はあるわけだ。
…その、旦那は一応愛してくれようと、努力した。
でも、私は料理料理と言って、旦那の方を見なかった。
それが、今回の原因だとハッキリ理解している。
小さい頃から一緒に居るし、今更好きになれって無理でしょ~。
良くも悪くも、可愛い弟みたいなモンだし。