第11章 Kept you waiting, huh.
潤『ちょっと………、親父っ……… えっ!』
そう立ち上がって父親に食って掛かろうとすると、長瀬がふぅと小さく息を吐くと立て膝をついて短刀の鞘を抜くと左手をバンとテーブルに置いてその右手を寸前まで振り下ろした。
智也『俺は……、五歳の時に潤と、旬と同じ施設から親父に引き取られました。
親父が、小日向園長と同期で仲が良かったからです。
だけど子供も、奥さんも早くに無くしてたから引き取っただけで、俺はいつも家にずっと一人でした。
俺にとっての父親は園長で……家族は、潤と旬だけだったのに………
毎週のように二人に宛てて書いていた手紙は父親に渡していたから、後で酔っ払った親父の後輩から聞いて分かったんですが、職場のシュレッダーにかけられて全部捨てられていました…………』
話し始めながら、長瀬の頬には涙が伝って刀を当てた手にポタポタと落ちていく。