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ぼくは、きみと。

第2章 #02


名前も知らない不思議な少女と不思議な日曜日を過ごした僕は、翌朝いつものようにピピピと何の変哲もない目覚ましの音で目覚めた。
上半身を起こしてから、今日の講義の支度をして、トイレ、洗面台、キッチンへと二日前と変わらない足取りを追う。
テレビをつければお決まりのポーズをしてニュースが切り替わり、新しいニュース番組に変わるタイミングだった。
その番組が一番最初に伝えたのは今日の天気。どうやら昨日より少し暖かく、空も快晴のようだ。白いTシャツにジャケットを着て、ズボンを履いて僕は家を出た。
僕の通っている大学は、昨日の動物園がある駅を降りてから右に向かって、しばらく歩くと突然姿を現す。
道中で僕は同じ講義を受ける友達と会った。

「おー笹崎」

「吉本」

吉本は気さくでいい奴だ。ムードメーカー的な存在で、でも最近は彼女ができないことが悩みらしくてよく合コンに行っている。僕から言わせてもらえば、多分彼女欲しいオーラが出ているのが原因だと思う。

「どーよ。一人ぼっち動物園は?」

「それがね、不思議な少女と出会った」

僕の肩に腕を乗っけてニヤニヤと聞いてくる吉本に、僕は淡々と答える。すると案の定吉本は大袈裟なリアクションを取った。

「え!?笹崎お前……ついに少女に……」

「違う!僕をロリコンみたいに言わないでくれ。たまたま会ったんだよ」

「え?じゃあ知り合いだったのか?」

「いや?知らない子」

そう言えば吉本は口を抑えて僕から距離を取る。そんな吉本に僕ははぁ。と溜め息を吐いて吉本との距離を詰めた。

「言っとくけど、僕にそんな趣味はないから」

「あっははー、わぁってるってー!笹崎クンは清純派だもんなー?」

「あのね……」

吉本はどう頑張っても僕をロリコンにしたいようだ。僕はそんな吉本に再び溜め息を吐いてスタスタと先を急ぐ。すると吉本は小走りをして僕と肩を並べてきた。
全く。最初から素直にしてればいいものを。
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