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a piece of memory

第2章 旅の道連れ


 良い人に助けてもらえて良かった。
 この人まで悪い人だったら、どうしようかと思った。
 実際、強そうだけど、目つき悪いし、喋り方も冷たいし……。
 でも、とりあえず“悪人”じゃ、ないみたい。
 襲われそうなところを助けてくれたし、都にも一緒に行ってくれる。
 そりゃ確かに、謎な人ではあるけど……。シルヴァ、っていう名前しか、教えてくれないから。
 男の人と二人っきりで旅するのも、それはいろんな意味で不安だけど、この際、そんな事は言ってられない。
 それに、それに……、基本的にあの人、私のことを馬鹿にしてる、のとはちょっと違うかな? 子供扱いしてるところがあって。
 昨日、野宿してる時も、火の番してるシルヴァの前で寝るのが、ちょっと気になってたら、
「安心しろ、俺にも好みがある」
 何なの!? あんな言い方しなくたって良いじゃない!?
 私だって、もう14なんですからね! シルヴァの方が確かに年上には見えるけど。
 どうせ私は美人じゃないし、胸もないし、子供だし……。良いけど、別に。
 あぁ、でも、ここ何日かで、ちょっとはマシになったこともあるわ。
 ほんのちょっとだけど、話もするようになったし、それに、傷の手当てもさせてくれた。
 お腹の辺りに大きな傷があって、何かの拍子に痛むらしいのに、今まで近付けてももらえなかった。でも、ついさっきだけど、やっと手当てさせてくれた。
 ちょっとだけ進歩、かな? 都に着いたら、お別れなんだろうけど、また会えたら良いな……。
 これきりになるのは、何だか淋しいから。
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