第2章 月下獣
「あの唐変木がどこに行ったか分からんか!?」
唐突に掛かってきた国木田からの電話。まあ、唐変木って言うのは恐らく私の彼氏である太宰なのだろうが……まあ、幸い私にはあいつの考えてることが手に取るように分かるから探さなくとも居場所は分かる。
「入水。そんなとこでしょ。私、今そこの下流の近くに居るから向かうわ。国木田はそこから真っ直ぐ下流に向かえばいいわ。」
「ああすまんな。」
電話を切り。呆れるようにため息をつくとその場所へと歩みを進める。ここからそこまではあまり距離は無かったため少し歩いただけで着いたのだが……いや、あの子誰?
「こんな処に居ったか唐変木!」
どうやら国木田がいた場所からここまでも近かったらしく私が着いてから数分とたたずに隣で怒鳴り声が響いた。相変わらず声が大きいことでいつも心配になる。太宰のせいで倒れるのではないかと、ただそれと同時にいい加減慣れればいいのにとも思うのだが彼の理想に反し続ける太宰を慣れることは無理なのだろう。
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