第2章 出会い
シンガポールにすむある一家に身を寄せて3日。その間にわかった事。
熱中症で倒れた私を助けてくれたあの男の子は音井信彦と言う名前。そしてその母親であるみのるさんはロボット心理学者との事。
そしてあの男――――。
「お食事は口に合いましたか?」
食べ終わった食事の器を片付けながら、丁寧な口調でそう問い掛けて来たのは綺麗な金糸の髪の青年。女性の様な顔立ちをしているけれどれっきとした男性だ。
「はい、とても美味しかったです。ご馳走様カルマさん」
手を合わせてペコリと頭を下げるとカルマと呼んだその青年は柔らかい笑みを見せる。
その隣で信彦が身をのりだし、はいはいと挙手しながら「食後のオヤツは何? カルマ」と問い掛ける。
「今日はオレンジゼリーですよ。冷蔵庫に入ってますから持ってくるの手伝って下さいますか?」
「うん!」
子供らしい無邪気な笑みを見せながらカルマに付いてキッチンへと走っていく信彦を見送りながらクスリと笑みをもらした。
けれどその表情はダイニングから人がいなくなるとすぐに無へと変わる。
「カルマ。A-K(アーク)カルマ。Aナンバーズ……」
電脳集団(シンクタンク)と呼ばれる機械工学者に制作された人間形態ロボット。確か初めて出会った頃は出来たばかりであんな表情を見せる人ではなかったけれど……。
けれど一番に気になるのはやっぱり。