第3章 何故人は泣くのかしら?
色んな検査を受けさせられ、音井家に帰る頃には空を輝いていた太陽は既に地へと降り眠りについていた。
「ただいま」
と玄関ホールに正信さんの声が響くと、ガチャリとリビングの扉が開かれみのるさんがパタパタとこちらへと駆け寄ってくる。
「お帰りなさい、正信さん#セト#ちゃんも」
「遅くなってすみませんみのるさん。夕飯は召し上がりましたか?」
遅れて入って来たカルマの問いに、みのるさんは私に視線を向けて左右に首をふった。
「用意は出来てるの。#セト#ちゃんが帰ってきてから食べようと思って」
「そうなんですか? 遅くなってごめんなさい」
「いいのよ。#セト#ちゃんも疲れたでしょ? 今日は早くご飯を食べて休みなさい」
「はい」
背を押されてリビングへ入ると、一番先に信彦がおかえりと声をかけてくれる。そのあとにシグナルとパルスと挨拶を交わした後、ダイニングテーブルの席について軽く溜め息をついた。
するとそれを聞いていたのであろう赤茶の髪の少女が私の顔を覗きこんでくる。
「ちょっとあんた大丈夫? 顔色悪いわよ」
「大丈夫です。ちょっと疲れちゃって……ありがとうございますクリスさん」
「まぁ体調が悪いから病院に行ってたんだもんね。気を付けなさいよ~熱射病って変にあと引くから」
「はい」
熱射病……正信さんさっきの話彼らに話していないのね。そうよね、あんな話、したところで誰も信じたりしないでしょうし。