第2章 出会い
「カルマ、ルナンセ病院に連絡入れてくれ」
「かしこまりました」
「じゃあ#セト#くんは出掛ける準備をして。オラトリオは留守番よろしく」
う~んと考えている内にテキパキと指示を出していく正信さんに待って下さい! と制止をかける。
「私はまだ行くなんて言ってませんが。それに私の身体の事です、あなた方には関係ないではありませんか」
Dr.以外にメンテナンスをされるなんて嫌だもの。それにそこまでこの人達にされる謂われもないわ。
絶対に嫌です、と繋げる筈だったその言葉は、ふわりと頭に降りてきた正信さんの掌に口から飛び出す事はなく飲み込まれる。
「心配なんだよ、ただ、君が」
大きな掌の向こうから見えた信彦と同じ黒い瞳と視線が交わる。
「心配……?」
「君がどう言った経緯でDr.クエーサーの所にいたのかはわからないけれど、でもね、君はまだ子供なんだよ。子供は無条件で守らねばならない存在なんだ。守られていい存在なんだ。それに今の君の話を聞いて考えるに多分君は……」
「私は……?」
正信さんの言いかけた言葉は、カルマの「車の用意が出来ました」という言葉に途切れてしまう。代わりに頭の上に置かれた掌が私の掌を握り「行こうか」と手をひいたから、私もそれ以上聞こうとは思わなかったの____。