第2章 出会い
少し間をあけてから「正信さん」と口を開く。
「私を警察に引き渡しますか? 爆発事件の重要参考人だって。証言台に連れてゆくなりなんなりお好きになさいませ」
言い方が少し小生意気に聞こえるのは許して欲しいわ。私だって苛つくことくらいあるもの。
けど私のそんな態度にも正信さんさんの表情はにこやかなまま、まるで小さな子がワガママを言ってるだけと言うようにポンポンと私の頭を撫でるだけ。
「君が行くのは何よりも先に病院だよ」
「びょう……いん?」
何故そんな場所へ? と小首を傾げ目で問いかける。
「君の話が本当なら、君の身体に何らかの悪影響が出ていないか確認しないとね」
「悪影響……って?」
「身体の機能を助ける為に医療行為で機械を埋め込むのは僕も知っているけど、君の場合は脳全体を入れ替えたらしいし。僕も始めて聞く話だから」
「別に……悪影響なんて何も。Dr.が御健在の時は毎月一度はメンテをして下さっていたし、自分で診察フローくらい出来ますもの」
「それでも、だよ。君は医者じゃないんだから」
それは、そうだけれど。
でも本当に何も。ただ目覚める前の事がわからないだけで。
Dr.も自ら教えて下さる事はなかったし、私も聞こうとは思わなかったし。