第2章 出会い
「だがATORANDAMで制作されたロボットならその情報は必ずORACLEへ情報がおくられるはずだ。俺が知らないロボットなど……」
「私はナンバーズに登録されていないはずなのでORACLEにも情報はないのではないでしょうか。私は人間形態ロボットとしては異質の存在ですから」
「そりゃそうだろう。人の頭に電脳を埋め込むなんてそんな酔狂な事、今の今までやらかした奴なんて誰もいやしねぇからな」
「酔狂……ですか?」
問い返せば「当たり前だ」とオラトリオは頭を振る。
「ロボットの俺だってやっちゃならない事といい事の区別くらいつく」
酔狂……? 人とロボットを併せる事が狂っているというの?
「何故ですか?」
「あ?」
「何故人の体からロボットを造る事が酔狂なのですか? 人の体から人を造ることはいいのに?」
「は? そんなの……」
「貴方はロボットなのに人の常がわかるのですか? 私はわからない、だって私はロボットだもの。なのに人ならざるモノの貴方が人であるDr.の行いを否定するなんて間違ってるわ!」
バンッとテーブルを叩いて勢いよく立ち上がれば、目端で少し警戒を強めるカルマが視界に入る。それを無視して言葉を続ける。
「オラトリオ、貴方言ったわね‘’ORACLE‘’に危害を加えたら許さないって。私もそうよ、Dr.クエーサーを侮辱するなら人間だろうとロボットだろうと許さない」
ガッと飲みかけの紅茶の入ったカップを無造作に掴むと、それをオラトリオに向けて振り上げた。
けどそのカップは私の手を放れる事なく、正信さんに手を掴まれる形で制止をかけられてしまう。
「こらこら、それはやりすぎだよ#セト#君」
「だって彼はさっき言った。喧嘩売る相手は間違えるなって。その言葉そっくりそのままお返しするわ」
「わかった、わかったから。ほらカップ置いて」
カップは奪われ、そのまま肩を押され「座って」とソファーへ促される。