第2章 出会い
そうでしょ? と彼を睨みあげながら問い掛け、ソファーから立ち上がり今度は私の方から彼のコートの袖を掴む。
さっきの勢いはどこへやら。オラトリオは黙ったまま私を見つめるだけ。少し見開かれた瞳には少しの迷いが見える。迷い? ううん、これは困惑だわ。
私の言葉になんて返答をしようか考えてる顔。
彼の返答を黙ったまま待っていると、思いもよらない声が代わりに返事を返して来たのだ。
「だが君は最後までDr.クエーサーの側にいた人物だ。それだけでも疑いの余地はあるんだよ」
えっ!?
バッとリビングと廊下を繋ぐ入り口に目を向ければ、出掛けた筈の正信さんとカルマが二人並んでたっていた。
何で、そう呟くように投げ掛けた言葉にカルマが私へと近付きA4サイズの茶封筒から同形の写真を二枚手渡してくる。
白黒のその写真に写っていたのは見覚えのある建物内の様子。そしてそこには……。
「この写真に写っている場所に見覚えありますね?」
「……はい」
「この写真の三枚目」
ぺらりと薄い紙が捲られ、二枚目の写真。それは一枚目と同じ白黒で、写りの構図から防犯カメラの映像の様で、黒い煙のような物とその煙に紛れる様に人影も写っていて。
「これは二週間前、Dr.クエーサーの研究所が爆発した時の映像です。いえ、爆発した直後……が正しいですね。当時研究所にいた研究者は全て帰路についていて、この時間はDr.ただお一人が残っていた……と言うのが出退勤記録の情報でした。唯一無事だった防犯カメラにもこの写真の人物以外は映っていなかったのです」
三枚目に見せれた写真は二枚目のズーム写真で、それには紛れもなく私が映っていた。
言い逃れはもう……出来ない。
「知って……たんですか? 知ってて私をここへ?」
「最初は疑惑だったんだけどね。けど今の君とオラトリオとの会話で確信したんだ」
正信さんが横から私の手の写真を覗き込みながら会話に加わってくる。