第2章 出会い
"もう"と言うことは"以前"は私は人間ではなかったと言うことになるんだわ。その時はそう納得した。
その次に教えられたのは電脳集団アトランダムの事。アトランダムに所属する科学者、その科学者に手掛けられ生まれた人間形態ロボットの事。そのロボットの名前、特性。
今目の前にいるオラトリオと先程のカルマの事もDr. から教わった。オラトリオがORACLEと言う電脳の守護神だと言うことも。
「私がロボットみたいだと言うなら貴方達ロボットも人間みたいだわ」
オラトリオの私を見る目と信彦やみのるさん達を見る目。警戒心を露骨に現した目。
「何故そんな目で私を見るんですか? 今もそう。私から何を探ろうとしてるの?」
小首を傾げながら静かに問い掛ける。彼は一瞬驚いた様に目を見開くが、すぐに元に戻る。そして口元に手を添え、なおも(今度は睨む様に)私を見据えた。
「私が貴方をORACLEの守護神だと言ったから……?」
ガタッ
オラトリオが弾かれる様に立ち上がる。その拍子に椅子が大きな音を立て倒れた。
その音を聞き付けたのか、キッチンの方から数枚のお皿を持った信彦とカルマが戻ってくる。
戻って来たら私とオラトリオが半ば無言で睨みあっている、そんな光景にカルマが小さく眉を寄せたのが目端に見える。
「どうしたのオラトリオ?」
お皿をダイニングテーブルにおきながら下からきょとんと見上げる信彦の声にオラトリオもハッと肩を揺らし、すぐいつもの飄々とした笑みを見せる。
「お……おー信彦いたのかお前」
「今キッチンにいたんだよ、気付かなかった?」
「そっか。何だお前もいたのかカルマ」
「ええ、私は片付けをしていたので。それよりどうしたんです、喧嘩でも?」
私とオラトリオを交互に見合いながら呆れた様に目を細めるカルマに、私は「いいえ」と一言だけ返し立ち上がる。
「私部屋に戻りますね。ご馳走様カルマさん」
「えーっでもまだゼリー残ってるよ#セト#姉ちゃん」
私の分であろう皿によそわれたゼリーを差し出しながら信彦が不満の声をあげる。そんな彼の頭を優しく撫でながら