第4章 秘密の理由
◆「と、とにかく、協力してよ・・・」
冷静さを取り戻した野蛮女が
不服そうにそう言ってきた。
『なにを?』
◆「お互い秘密にしてるなら、今日のことは忘れる。
それで、いいでしょ?」
『まあ・・・、いいけど。』
なにか理由があるみたいだけど、
俺には関係ないし。
向こうも秘密にしてくれるみたいだし
話さなきゃいいだけだろ・・・
別に何の問題もないな・・・
◆「じゃ、じゃあ・・・、
学校でもお互い知らないふりだからね・・・」
『はいはい・・・分かりましたよ・・・』
そう答えると、野蛮女は「じゃあ・・・」と俺に背を向け、
会場に戻ろうとした。
◆「・・・・・・・・・・・・」
野蛮女の足は一向に進まない。
・・・なに・・・?
まさか約束破るとか疑ってんの?こいつ?
『・・・なに?ちゃんと約束は守るって・・・』
◆「・・・あっ・・・そうじゃ・・・なくて・・・」
俺に背を向けたまま話す。
『・・・ん?・・・じゃあなに?』
野蛮女がくるっと振り向いた。
顔は伏せがちにして、なにか言いたげだった。
はあ・・・なんだ?
野蛮女に近づき、見下ろすような位置についた。
・・・この角度、谷間バッリチ・・・
じゃなかった・・・
◆「えっと・・・その・・・」
『・・・なに?言ってみな』
◆「・・・さっきは・・・」
『ん?』
何かもぞもぞ言ってる。
ちゃんと聞こうと顔を近づけた時、
◆「・・・っ、さっきは助けてくれてありがとう!!」
そう、野蛮女がいきなり顔を上げた。
真っ赤な顔で、ちょっと目を泳がせていた。
たまに俺の目に視線を合わせるその仕草が
なんとも可愛い・・・
・・・だから・・・それは・・・
本当に天然?
狙ってやってんの・・・?
彼女の行動は、そう言いたくなるものだった。
少し潤んだ瞳とか、少し尖らせた唇とか・・・
あと、・・・谷間とか・・・
うん・・・いい・・・
そんなことを思いながら彼女を見ていた。
・・・ちゅっ・・・
ん?あれ・・・?