第4章 秘密の理由
◆「ダメっ!!!」
急に振り向いたので驚いた。
『え、ちょ・・・』
俺の服をギュッときつく握りしめ、
じっとこちらを見ていた。
俺は、釘付けになった。
な、なんでそんな泣きそうな顔してんだよ・・・
◆「お願い・・・」
俺の服を握りしめる手は、微かに震え、
徐々に目には涙が溜まっていく・・・
あと一言、俺が意地悪なことを言ってしまえば
本当に泣き出してしまいそうな・・・
そんな顔だった。
『分かったよ、言わない。』
俺は、女の涙にはどうも弱い・・・
昔から、母さんと姉さんに「女性には優しくしろ」と
言い聞かせられているのもあるけど、
目の前で泣かれるとやっぱり放っておけなくなってしまう。
◆「・・・ほんとう・・・?」
涙でユラユラ揺れる瞳を向け
少し上気し赤く染まる頬が目につく。
『言わないから泣かないで?』
いくら野蛮女だと言え、
そんな顔で見つめられたら
優しく言う他ない。
◆「な、泣いてない!!泣いてないわ!!」
『いやいや、無理があるでしょ、フフ」
無謀な強がりについ笑ってしまった。
まぁ、とりあえず、
俺と同じ理由、ではないことが分かった。
この女の必死感はかなり異常・・・
まぁ、泣かれるのも困るし、黙っといてあげよ。