第1章 1
「今日はお休みじゃないんですか。」
「ええ、ですが今日中に終わらせたい書類がありまして。それと部下がサボってないと心配で」
「......サボってませんよ」
普段とは違う服装に違和感、見たいような見たくない。きっとこれから向かうお見合いの為の衣装なのだろう。きっと無駄に容姿端麗な彼だ無駄に似合う。自分も人間だ。恰好いい人は素直に恰好いい、性格云々は抜きにしてもこんな上司に見惚れそうなんて屈辱だ。視線を逸らすように書類に目を向ける
「鼻歌を歌いながら仕事出来るほど、出来る部下とは知りませんでしたよ」
「...あ」
聞かれてた。
「用事が済み次第、もう一度顔を出すつもりでした、出来る部下ならもちろん
それなまでには終わってますよね?」
ドサッと元からあった紙の山に追加されて積み上げらた書類。終わるわけがない。それよりお見合いに行くんじゃないのか。まるで会議みたいな物言いに違和感を感じながら
「お見合い終わった後ってこれるんですか?」
一般人から軍人になった私とってお見合いななんて未知の世界だ。普通に考えて見合いのあとに仕事場にこないだろ、その前にも。正装した彼にチラリと目を向け小綺麗な格好にああ、本当に見合いに行くんだなと、心のどこかで間違いだったんだ、と彼の声がした時に期待した自分がいた。
「おや、ご存知でしたか」
「陛下が言ってました」
有給で休むと大佐から告げれ、準備かあるからと上司は定時で帰宅し、1人執務室に取り残された私は上司に悪態付きながら仕事をしていると秘密の通路とやらから現れた陛下にお見合いだと聞かされた。それを話す彼はそれは好奇心いっぱいの表情だったのを覚えてる