第5章 近づく心
…………………いつもより、少しだけ
寝心地が悪いなぁ。なんて思っていた。
首が痛いし、体が不安定な感じがする。
寝にくい……
そう思っていても、自分ではどうにもできなくて。
んん~、と少しだけ唸る声が耳に届く。
すると、突然体がふわり。と浮いた感覚。
それに少しだけいい匂いがする。
すぅ。と肺にいい匂いを取り込もうと息を吸い込む。
それと同時に、うっすらと目を開けた。
まだ私は夢現。
ぼんやりと広がる視界に映るのは、一面肌色。
その所々に、黒が紛れ込む。
(……何だろう、この肌色。)
良くわからないそれに、まだ眠たさのまさる頭は考えるのをすぐに放棄して、そっと目を閉じた。
その後すぐに、少しふわりとしたどこかへと体が預けられる。
サラサラな手触りと、いい匂い。
先程とは全く違う、寝心地のいいそこに 私は思わず頬を摺り寄せた。
……これなら、首も、体も痛くないまま寝られそう。
少しだけ浮遊していた意識は、一瞬にして沈んでいった。