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進撃の巨人 リヴァイ落ち予定

第5章 近づく心



「エルヴィン、駄目だよ。アイリーンが怖がってる。」


エルヴィンから視線を外せずにいると、ハンジが助け船を出してくれた。
ハンジが声を掛けてくれたお陰で、エルヴィンの視線はアイリーンから外れる。

少し弱くなった威圧感に、空気が軽くなった気さえした。


「おや、すまなかったね。君を見るのは初めてなものだから、つい見いってしまった。」


ふわりと笑いながら、エルヴィンはアイリーンを再度見る。
笑うと雰囲気って変わるんだな。
そう呑気な事を考えてしまうほど、エルヴィンの微笑みは優しくアイリーンに届いた。


「しかし、確かに可憐な人だ。あいつが気に掛けるのも、少しわかる気がするな。」

「あ、エルヴィンまで取ろうとしてるの!? 駄目だよ、アイリーンは僕の同志なんだから!」


あいつ?
取ろうとしてる?
……可憐!?

エルヴィンとハンジの会話に疑問と羞恥がアイリーンの頭を占める。

取ろうとしてるって何?
引き抜きの話でもあるの?
というかあいつって誰だろう?
というか可憐って私の事なの!?

疑問に考える顔をした後に、恥ずかしそうに顔を隠す。
かと思えば、また考える顔をする。


くるくると変わる表情に、エルヴィンは気づいてふっと口角を上げた。


「……取るつもりは無いけれどね。素敵な女性に会えるのはいい事だ。それに、私も興味が湧きそうだ。」


アボット君。とエルヴィンに名前を呼ばれ、アイリーンは表情を元に戻して呼ばれた方へと視線を向ける。

エルヴィンは綻んだ笑顔のまま、アイリーンの頭を一度ポンっと軽く叩いた。


「また何かあれば直ぐ連絡しなさい。今日はこれで失礼するよ。」

「は、はい! ありがとうございます!」


優しく微笑むその姿はまるで……


「それじゃぁ僕も行くね。後の事は任せたよ。」

「任せてください。」


ひらりと手を振ってエルヴィンに付いていくハンジ。
なんだかその様子すらも、アイリーンの思った姿に少しだけ重なった。


「……やっぱり、お父さんみたい。だな。」


口に出すと本当にそう思えてきて、アイリーンは一人、口許を隠しながらくすりと笑った。

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