第3章 騒がしいお茶会
「み、三月さん…あの…っ」
私は三月さんに手を引かれ、かなりのスピードで[お茶会]へと連れられて来た。息切れで言葉が途切れるけど、ちゃんと、私はアリスじゃないって言わなきゃ…!
「ごめんな!楽しくてつい…大丈夫か?」
「…ん、みっきー…?」
心配してくれている三月さんの後ろから、どこか間延びした声が聞こえてくる。
あれ、もしかして…。
「起きたか?なぁ聞いてくれよ!アリスだよ!あのアリス!!」
「アリスって、あのお月様がーっていうアリス?」
水色の髪…やはり環さんにそっくり…。
「そうなんだよ、そのアリスなんだよ!」
「おー、すげーじゃん。…おれは眠りネズミ?のタマキ」
「あ、そうだ!さっき言ってなかったな、俺は三月(さんがつ)うさぎ!」
ん?ねむりネズミ?と、さんがつうさぎ?
思わず訂正する事を忘れたまま、会話がますますおとぎ話めいてきたところで、人一倍大きい声が聞こえる。
「さぁ揃いましたね!それではtea party始めまショウ!…おや?ミツキ、そちらのbeautifulなgirlは一体どこのprincessデス?」
ところどころに発音のいい英語を織り交ぜて話す黄色の彼は、近づくや否や手を取り、気が付けば私の手の甲にナギさんの唇が触れる。
…や、やっぱりナギさんらしい。
「ナギ!あんまり失礼な事するなよ!?この人あのアリスだからな!?」
三月さんの言葉に目をより輝かせるナギさん。…あ!待って、私はアリスじゃなくて…!
「あの…!」
「なんと!oh…失礼、ご挨拶がまだでした。ワタクシ、マッドハッターのナギと言いマス。アリスに出逢えて、とても光栄デス」
違和感なくウィンクをするナギさん。
これ、タイミング待てない…!
「えっと、私は[アリス]じゃなくて紡で…!」
「fantastic!アリスにも素敵な名前があるのデスね…アウチ!」
「こらナギ!口説いてないで、お茶会やろうぜ!」
あ、あれ?私訂正出来てる?
戸惑っていたその時、どこからか声が聞こえた。
「お前さんはアリスであり、紡でもある」
「大和さん!?」
でも姿は見えない…どこだろう?
「ヤマさん…?」
「おっさん?」
「ヤマトは見てないデスね…」
おかしいな、確かに聞こえたのに…。
「お前さんにしか話してない」
「えっ!?」