第3章 騒がしいお茶会
楽しむ…か…。
私は、何をどうしたらいいのかさっぱりわからなくなり、ただひたすら歩いていた。
「大和さんも、どうせなら詳しく教えてよ…」
そう嘆いた時。遠くにまた見覚えのあるオレンジを見つけた。…三月さん。
「ん?見た事ない人だな!」
跳ねるように私の方へ駆け寄る。
やっぱり、三月さんだけど三月さんじゃない…?
「どこから来たんだ?…黒の国か?」
「へ?」
聞き慣れない言葉に、思わず変な声を零す。
…黒の国?三月さん(?)は深刻そうな表情をしている。黒だと大変な事になるのかな…?でもここで変に偽っても後々困るだけでは?
「?お前…わからないのか?黒の国」
「は、はい…」
観念して本当の事を言う。うん、これがいい。
「っははは!面白いやつだなー!」
…え?面白い?
何が起こっているのかわからなくなる私をよそに、話を続ける。
「待てよ?記憶喪失とかだったら大変だな…自分の事はわかるか?大丈夫か?」
「そ、それは大丈夫です…?」
「良かった!じゃあ名前は?俺はミツキ!」
こっちの三月さんも明るいんだなぁ…と思いつつ答える。
「私は小鳥遊紡です」
「紡か…聞いたことない名前だなー、もしかしてアリスだったり?なーんて…」
また、アリス。さっき大和さんにも言われた…。本当に[不思議の国のアリス]みたい…。
黙ってしまった私を見て確信したのか、三月さんは喋る勢いを緩めなかった。
「まじで!?アリスなの!?え、俺、初めてアリスにあったぞ!すげー嬉しい!」
「あ、あの?」
「そうだ!これからお茶会あるんだよ!一緒に来ないか!?あー、でもナギのやつうるさいかな…。いやでも俺がアリスと一緒にお茶会したい!よし、行くか!」
三月さんの中で話がトントン拍子に進んでしまい、私もお茶会に行く事になった。
ナギさんって…こっちでもあのテンションなのかな…?
その頃、リクは黒髪の青年と話を続けていた。
「もしかして、さっきの紡って女の子…」
うーん、と悩んでいるリクを横目に、黒髪の青年はまたもや呆れ顔になる。
「なんですか…まさかアリスと出会った、なんて言わないでしょうね…」
「アリスだったかも」
「はぁぁ!?」
その後、城が何かと騒がしくなったのは言うまでもない。