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i7 in Wonder land

第10章 アリスの覚醒


何とか倒れずにいられたものの、ダメージは想像以上だった。
腕や頭、足などに深い傷を負い、眼鏡のレンズが片方割れる始末。
強い。
圧倒的な強さに思わず身震いがする。

「…危ねーな」

男は口角を上げて不気味な笑みを浮かべる。

「これを食らっても立っていられる人間がいるとは…アリスの次に取り込ませてもらおうか」
「させるかよ」

強がってはいるものの、立っているのがやっとのこの足が情けない。
それでもアリスを庇うように男の前に立ち塞がる。

「邪魔なんだが」

容赦なく腕にナイフを突き立てられ、痛みに顔を歪める。

「っ…趣味悪い、っすね」

突き立てられたナイフを拗られて思わず呻く。
痛いが、今はそれどころじゃない。
どうしたら、アリスからこの男を離せるか。どうしたら、皆に危険を知らせられるか。
瞬時に思考回路を働かせ、ある考えに辿り着く。

「すみませんねぇ…!」

力を振り絞って男を蹴りあげ、両腕を撃つ。
痛みに男が呻いた隙にアリスを抱き上げ、ガラスを蹴破り窓から飛び降りる。
強硬手段にも程があるか?だが構ってられない。
確かこの下は屋根が連なっていた筈…!

「このっ…!」
「屈んで!」

咄嗟に屈むと、頭上をダーツの矢が掠めていく。
…この声は。

「タマ!」
「無茶し過ぎだって!心臓止まるかと思ったんだかんな!」
「私も同感ですね…」

着地した屋根の上にはタマキとイオリの二人。
タイミング良かったな…。

「って、アリスは大丈夫なの?」
「ひとまずここを離れましょう、あの男が目を覚ます前に…!」
「っ…逃がさないよ」

ゾクリとするような男の声。
頭上から降ってきたのは声だけではなく、放たれた魔法であろうものがすぐそこまで迫っていた。
そう思った時にはもう手遅れで。

「ヤマさん!」
「くそっ…」

せめてアリスは守らねば。
その意思で彼女を庇うように覆い被さる。
強い衝撃がくると目を強くつぶったその時。

「っ…?」

衝撃が全くなかった。
恐る恐る目を開くと、眩しい光に包まれていた。

「おっさん…それ…!」

光の正体はアリスのペンダントからだった。

「争いは…許されない…」

腕の中のアリスは薄らと目を開いて呟いた。
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