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i7 in Wonder land

第10章 アリスの覚醒


「その力を…取り込むのだよ」

テンは目を見開いた。
詳しく説明されていないはずなのに、彼女の命が消される事がわかった。
それは…あってはいけない。
彼女の命の危機でもあるし、同時に危険を伴う事になる彼にそんな真似をさせたくない。

「…成功する確証は無いのでしょう?」
「そうだな…アリスと共にきえる可能性もあるだろう」
「!それなら…」
「テン」

その目は、酷く暗かった。

「お喋りはお終いだ」
「やめ…っ!?」

また青白い光が放たれたと思うや否や、全身に鈍い痛みが走る。
今ここで、目を離しては…いけない…。
そこで、テンは意識を手放した。

「さぁ、始めようか…アリス」



「だいぶ減ったのですが…」
「まだ増えんのかよ、コイツら…」

倒しても尚増え続ける敵軍に、流石に疲れを隠せない黒と水色の戦士。

「イオリン…二手に分かれよ」
「駄目です。この状況で一人で動くと、危険です」
「じゃあどーすりゃ減るんだよコイツら!」

敵をなぎ倒しながら会話する二人。
タマキの怒りが含まれた言葉に、イオリは冷静に頭を回転させる。
…個々の力が駄目なら、足してみたらどうだろうか。

「矢を投げてみてください!」

半ばヤケクソだった。
だがこれに賭けるしかない…そう考えたイオリは珍しく大声を出して叫んだ。
その声に驚き、タマキは敵に向かって思い切りダーツの矢を投げる。
その矢に、イオリは先程と違う呪文を唱える。

「は…!?」

呪文を唱えられた矢は黒い闇に包まれる。
そしてその瞬間、敵全体に土砂降りの雨の様に矢が降り注いだ。

「スゲーじゃんか!」
「っ…ですが、回数は限られますね…」

フラリと身体が揺れる。
その身体を支えながら、タマキが声をかける。

「無理すんなって。ひとまず先行こ」
「そうですね…今のうちに城へ向かいましょう」



みんな無理しないで、無事でいて…。
不安で赤髪を揺らしながらも、王は歌い続けた。

「っ…!」

何度も咳き込み歌が途切れた。
それでも希望は絶対に捨てず、何度でも歌った。

「リク、無理すんなよ!」
「ワタシ達がいるんですから…!」

オレンジと黄色の二人に励まされ、より心強さを覚える。
本当にありがとう。
感謝の気持ちも込めて、仲間へのエールを歌い続けた。
何度でも。
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