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i7 in Wonder land

第10章 アリスの覚醒


「よし…」

眼鏡の位置を直し、拳銃の玉を入れ替えるヤマト。
彼の足元には何人もの人が倒れていた。
殺傷能力の高い玉を入れてはいたものの、やはり王…リクの歌が耳に届いていたからか気が引けた。
そこで昏睡状態に陥るものに入れ替えていたのだった。

「…やっぱりここは許してくれよ…リク」

誰にも届かない呟きを零し、さっきまで入れていた殺傷能力の高いものが装備された拳銃を握り直す。
いよいよラスボスのお出ましか…。

「…っ、…!」

足を進めると同時に、開かずの間からの声が大きくなる。
その声は、次第にハッキリと聞き取れはしないものの、事の危険さは理解出来た。

「…取り込む…」
「…確証…」

どうやらテンは反対している様子だが、もう一人の男は違う。
これは少し様子を伺おう。
そう思った時。
鈍い音がしてテンの声が消えた。

「…アリス…」

男がアリスを呼ぶ声。
危ない…そう考える前に、既に身体は動いていた。
ドアを蹴破り部屋へと足を踏み入れる。

「全く…礼儀のなってない来客だ」
「どーも」

軽く言葉を交わしただけでも、この場の雰囲気に呑まれそうになる。
…それ程までにこの部屋には厄介な闇が広がっていた。

「アリスを迎えに来たんですけど…返してくれません?」
「それは出来ないな。まだ要件が済んでないのでね」

ふと、視界の隅にテンが横たわっている姿を捉えた。
そして、名も知らぬ男の後ろに横たわる…台座のような場所に寝かされているアリスの姿も。

「じゃ…仕方ないですね」

瞬間、構えた拳銃の引き金を引く。…が、男の魔法によって躱される。

「彼女に当たったら危ないじゃないか。物騒な客が来たものだ」
「はは、腕には自信あるので」

表面上の笑いを一瞬だけ浮かべ、男を狙い引き金を引く。
男も対抗して青白い光を放ち、俺に攻撃を仕掛ける。

「つっ…」

掠っただけで血が滲む。

「おや、なかなかにしぶとい様だね」
「貴方こそ」
「それなら…先に彼女との要件を済ませよう」

男はアリスに向かって光を放つが、俺が黙って見ている訳も無く。その魔法は断ち切られた。

「…邪魔だ、消え失せろ」

まずい。
変な体制で助けに入った為に、立て直すのに少しかかってしまった。
そこに間髪入れずに青白い光。
これは、食らうしかない…!

「っ!?」
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