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i7 in Wonder land

第7章 黒き疑惑


何の事かと思って近くの鏡を見てみると、私の頭には小さなハットが付いていた。
白くて小さなシルクハットに白い羽やレースのリボンが付いていて、その真ん中には大きめのキラキラとした宝石のような石が付いている。

「綺麗…」

呟くようにして零れた感想は、しっかりと壮五さんの耳に届いていた。

「素敵だよね。その石はこの虹の国でしか取れない貴重な宝石なんだ、よくお守りとして使われているんだよ」
「そ、そんな高価なもの…!」
「大丈夫。お守りとして、持っていてほしいってナギくんが言っていたよ。それに…」

一段と優しい笑みを浮かべて、言葉を続けた。

「お守りの石、持っていて欲しいんだ。みんな…ね」
「みんな…」

お守り。
純粋に嬉しかった。

「ありがとうございます…!」

素直に受け取ろう。
それに、これでドレスも選びやすくなった。…助かった、なんて。

「それじゃあ、部屋の外で待っているね。食事会の場所まで案内するよ」
「はい、ありがとうございます!」

壮五さんが部屋を後にして、私はすぐにドレスを選んだ。
そうか、ここのナギさんは「帽子屋」なんだっけ。
そんな事を考えながらもドレスに着替える。
綺麗な白色で所々にレースがあしらわれたシンプルなデザインのドレス。

「似合うかな…」

鏡を見て確認を何度も繰り返し、不安を抱えつつもドアを開ける。

「アリス…」

驚いた様に目を見開き、私の格好を見る壮五さん。
…変じゃないかな、大丈夫かな…。
そんな私の耳に届いたのは、想像していなかった以外な言葉だった。

「綺麗だね、似合っているよ」

嬉しい。不安だったから尚更嬉しさが込み上げる。
優しい笑顔で微笑む壮五さんに、思わずときめく。

「ありがとうございます…!」
「ふふ、じゃあ行こうか」
「はい!」



「お待たせ致しました、ソウゴです」
「あ、ソウゴさん!どうぞー!」

陸さんの明るい声が聞こえてくる、目の前の大きな扉。その扉をゆっくりと壮五さんが開き、私をエスコートしてくれる。

「わぁ…!」

すごい。豪華で、かつ上品で、優雅で…まるで映画の中に迷い込んだかのようなその光景に、思わず感嘆を零す。

「アリスも来てくれて良かった!座って座ってー!」
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