第2章 適合者
慌てて男達がアランに駆け寄る。
「待って!」
アレンは男達をかき分けてアランのそばまで来るとそっと抱き上げた。
イノセンスはどうやら彼女の手の中に収まっているようだった。
「アラン、大丈夫ですか?意識はありますか?」
アレンがそっとアランの頬に手を添え顔をのぞき込む。
「うっ……」
アランはうめき声をあげ、目を開けた。
「一体何が……」
アランがそう呟いたとき、後ろでガンガンガンと大きな音が鳴った。
「悪いが今日は店じまいだよ!アランが心配ならまた明日来てくれ!」
大きな音を出していたのはカウンターにいた女性だった。
女性はフライパンにおたまを打ち付けて大きな音を出していた。
男達は女性が怖いのかアランの心配をしながらも渋々と酒場を後にしていた。
「ほら、あんた達も部屋に戻っておくれ。アラン大丈夫かい?一体何が」
女性はアレンたちのことを押しのけてアランを立たせる。
「わかりません……いきなり衝撃が体に走って……」
アランが起き上がり手を握りしめると違和感に気づいた。
「なにこれ……」
「すみません、僕達にお話をさせていただけませんか?」
アレンは2人の方を見て言った。
「あんた達まだいたのかい!?」
「お願いします。僕達はアランの手の中にあるものがなんなのか知っています。そして、ちゃんと話を聞いて、答えを出していただきたいです。よろしいですか?」
真剣な眼差しのアレンとトマに女性はため息をつき、酒場ではなく、奥の私室へ案内した。