第2章 適合者
アレンとトマは無事街に到着し宿探しを始めた。
「すぐに泊まれる宿ってありますかね……。あと……イノセンスがすごく熱くなってます……。もしかしたらこの村に適合者がいたりして……」
「その可能性は否定できません。ですが、今は先に宿を……」
その時だった。
「アラン!」
「へ?ああああああああ!!」
叫び声とともにアレン質の元へ大量のりんごが転がってきた。
「これ……」
「ごごごごごごめんなさいいいいい!」
アレンたちのもとに1人の少女が駆け寄ってきた。
「お怪我はありませんか?」
「大丈夫ですよ」
「良かったです。あー……りんごが……」
少女は持っていたかごに自分のエプロンで汚れを拭き丁寧に入れていく。
「手伝いますよ」
「え、そんな、申し訳ないです!」
「遠慮しないでください。」
アレンはニコリと笑うとポケットの中からハンカチを取り出しりんごを拭きかごの中へ入れていく。
「ああああああああ、本当にごめんなさい。綺麗なハンカチに泥がついてしまって……。」
「本当に大丈夫ですよ。代わりにと言ってはなんなんですが、僕達今日この街に来たばかりなんです。宿を探しているんですが、どこか泊まれる場所はありませんか?」
少女は一瞬キョトンとすると、すぐにハットして立ち上がった。
「それならぜひ、私の働いているところへ来ませんか?小さな酒場なんですけど、泊まれるところもあるんです。今おばさんに聞いてみますね」
少女は最後のりんごをかごの中に入れると立ち上がりお店の前で荷物を下ろしていた女性と話をし始めた。
そして、女性はちらりとアレンたちを見るとうなづいて見せた。
そして、少女が再びアレンたちの元へ走ってきた。
「ぜひ、いらしてください!あと、りんごを拾っていただいたので、ただとまではいかないんですが、ある程度お安くいたします!」
「本当ですか!いいですよね!トマ!」
「はい、是非よろしくお願い致します」
「それではご案内致します!」
少女の案内の元アレンたちは宿に向かい手続きを済ました。
案内された部屋へと入るとアレンとトマは顔を見合わせた。
「トマ……もしかして……」
「彼女が適合者の可能性は高いでしょう……ただイノセンスが彼女の元へ行かない理由がわかりません……まだ考えているということでしょうか……」