第6章 黒の教団
「寄生型のイノセンスは適合者の体に寄生して、装備型からは想像出来ないような力を発揮する。しかし、その代償に寄生型イノセンスの適合者は短命なんだ」
何かが体を冷たく包み込む。
これ以上は聞いてはいけないというような……。
「そして……君のイノセンスは心臓に近い左の首筋に埋め込まれている。君は……寄生型のエクソシストの中でも特に短命らしい……」
目の前が暗くなる。
目を開いているはずなのに視界に何も映らない。
コムイさんはまだなにか話しているのに私の耳には何も入らない。
覚悟を決めてここまで来たはずだった。
でも、足りなかった。
そもそも、私はこのイノセンスをどう扱うのかすら知らない。
そんなんで一体私に何ができるというのだろうか。
「アランちゃん……?」
コムイに声をかけられ、ハッとしたようにアランはコムイの顔を見る。
「……本当に……ごめんね……」
「……コムイさんは……何も悪くないでしょう……。コムイさんが私をこのイノセンスの適合者に選んだ訳では無いんです……。ただ……少し時間をください……」
平然と答えているつもりでも、声が震えているのは隠せなくて……。
どうして私なんだって考えずにはいられない。
コムイはアランの心情を察してか、何も言わずに、ただ優しく頭を撫でると医務室から出ていった。
1人残されたアランはベッドに横になると頭まで布団をかぶった。
私はイノセンスを使えば……すぐに死んでしまう……。
イノセンスを使えば使うほど命は削られる……。
最悪……もう……あの街には戻れない……。
ティキさんにも……会えない……。
会いたい……今までは毎日顔を合わせてたのに……。
もう……会うことすら出来ない……。
会いたい……会いたいよ……!!
瞳からはたくさんの涙が溢れ、止める術なんてなく、流し続けるしかなかった。
涙が枕を濡らし、やがて泣き疲れたのか、アランはそのまま眠りに落ちた。