第6章 黒の教団
リナリーは丁寧に案内すると最後にアランの部屋へ向かった。
「まだわからないこともあると思うから困ったときは私に聞いてね」
リナリーの笑顔にアランも笑って見せた。
お互いに別れを告げ部屋に戻ろうとした時だった。
「アランー!」
名前を呼ぶ声が聞こえ振り返ると、名前を呼んでいたのはアレンだった。
「どうしたんですか?」
アランがアレンのそばによりながらいうと、アレンは握りしめていた手を開いた。
「これ、アランのイノセンスを預かったままだったことを思い出したんです」
「あ、そういえば」
そう言ってアランがアレンの手の中にあるイノセンスに触れた瞬間だった。
突然イノセンスが光り輝き、アランの体の中に吸収された。
そして、それと同時に襲われる激しい吐き気、身体中の痛みにアランは意識を保てなくなった。
「アラン!」
「ティム!急いでコムイさんたちを呼びに行って!」
ティムはアレンの言った通りものすごい早さでコムイたちの元へ飛んでいった。
アレンはアランのことを抱き上げると医務室へ向かい、リナリーはダークブーツを使い先に医務室へ向かった。
アレンが医務室につく頃にはベッドが用意されておりすぐに寝かすことが出来た。
そして、数分後にはコムイとリーバーが駆けつけてきた。
「一体どうしたんだい?」
コムイは少し焦ったように聞く。
「わからないの。アレンくんがアランちゃんのイノセンスを渡しに来てくれたの。アランちゃんがイノセンスに触れた瞬間、いきなり体内に吸収されて倒れちゃって……」
それを聞いたコムイはハットしたように意識を失ったアランを抱き起こし髪を避け首筋を見た。
首にはまるで埋め込まれたかのように十字架の石が刻み込まれていた。
「やはりそうだ……」
「兄さん、アランちゃんは?」
「彼女のイノセンスは寄生型だったんだ。寄生型のイノセンスは適合者の身体をイノセンスに合わせて作り替える。大方その反動が大きすぎて意識を保っていられなかったんだろう……」
「大丈夫なの……?」
「へブラスカに見せた方がいい……リーバー班長、エレベーターをこの階へ」
「了解っす」
コムイはアランを抱き上げるとネブラスカの元へ行った。