第5章 旅立ちの日
アランの荷物は思っていたよりも少なく、カバン一つに収まったが、お別れのためにもらったプレゼントが多すぎた。
それもどうにかまとめると、荷物を持ちアレンたちが待つ駅へと向かった。
駅にはアレンたちと仕事をほっぽり投げてきた人たちで埋もれていた。
「みんな……どうして……」
「みんなあんたのことが大好きなんだよ」
女性がアランのことを思い切り抱きしめると、アランの髪にリボンを結んだ。
「おばさん、これは……」
「私からの餞別さ。早く帰ってくるんだよ」
「はい、必ず……」
アレン達は別れの邪魔をしまいと先に列車に乗り込んだ。
そして列車の発車ギリギリにティキが走ってやってきた。
「アラン!」
「ティキさん!仕事で来れないんじゃ……」
「俺以外にもたくさんサボってお前の見送りに来てんだ。今日くらい何も言われねえよ」
ティキは最後にアランのことを思い切り抱きしめた。
アランはたまらずティキの頬を両手でそっと包むと軽くキスをした。
その瞬間、周りにいた人たちからは歓声が上がった。
みんなこの2人が結ばれるのを待っていたのだ。
しかし、運命とは残酷で別れとはすぐにやってくる。
アランは名残惜しそうに唇を離した。
ティキは優しく微笑むと首筋に顔を埋めるとこっそりキスマークを増やした。
「元気でな」
「ティキさんも……」
そこで汽笛がなり、発車を知らせる。
アランは慌てて乗り込むと走り出した列車の入口から大きく手を振った。
街の人たちは列車が見えなくなるまで大きく手を振り、アランもまた見えなくなるまで手を振り続けた。
「アランちゃん」
振り返るとリナリーが立っており優しく微笑んでいた。
「リナリーさん……」
「私たちのためにありがとう。早くこの戦争を終わらせてみんなでそれぞれの場所へ帰ろうね」
「はい」
アランは瞳に涙を浮かべながらも笑顔を浮かべて答えた。