第4章 愛する人に別れを
朝日が山から顔を見せたまだ早い時間、ティキはアランの体を綺麗にすると服を着せ家へと送っていった。
アランの体の中には大量に吐き出されたティキの欲がある。
あわよくば孕んで、働きに行けなくなればいいと思った。
そうすればアランは自分と結婚して子供を産める。
そして、幸せな生活が送れる。
しかし、現実はそううまくは行かない。
ティキは自分のポケットの中から一つのネックレスを取り出した。
それはティキが自分で掘り当てた綺麗な石を街のアクセサリーショップで美しく加工したものだった。
本当はアランの誕生日に渡そうと思っていたのだが、アランはもう誕生日にはこの街にいない。
ネックレスに口付けてアランの首に通した。
その時アランはそっと目を覚ました。
「ティキ……さん……?」
「あぁ……これ、お前のために作ってもらったんだ。大切にしろよ?」
アランはそこで初めて自分の首につけられたネックレスの存在に気づいた。
「これ……」
「俺はお前のことを絶対に見つけ出す。だから目印にこれをつけててくれ」
「っはい!」
「明日はきっとたくさんの人がお前との別れを惜しみに来る。今はゆっくり休んどけ」
ティキはアランの隣に横になるとアランを抱きしめた。
「暖かいです……」
アランはそう言って幸せそうに笑うと再び眠りに落ちた。
ティキはその表情を見て優しく微笑むと自分も優しく微笑んだ。