• テキストサイズ

白黒の運命

第3章 交換条件


次の日、アレンとトマは本部から送られてくるエクソシストを迎えに駅まで来ていた。

「一体誰が来るんでしょうか……」

「私にもわかりません」

やがて駅に汽車が泊まり何人か降りてきた。

「アレンくーん!」

名前を呼ぶ声が聞こえ振り返るとそこにはリナリーが立っていた。

「待たせてごめんね!」

「いえ、全く問題ないですよ」

「それで、イノセンスの適合者は見つかりそう?」

何も知らないリナリーは心配そうにまゆを下げる。

「それがですね……」

アレンが昨日の出来事を話すと、リナリーは驚きつつもすぐに現状を飲み込み、動き始めた。

「今日、教団から仲間が来たら改めて話したいと言っていました」

「その子の名前は?男の子?女の子?」

「アランと言って、僕らと同じ歳くらいの女の子です」

「そっか……」

リナリーは一瞬つらそうな顔をすると直ぐに何事も無かったかのように歩き始めた。

やがて、酒場につき中に入るとアランは重そうな荷物を一生懸命運んでいるところだった。

「アラン!手伝いますよ!」

アレンが荷物を取ろうとするとアランは大きな声で怒った。

「やめてください!これは、私ができる残り少ない恩返しなんです!邪魔しないでください!」

アランは瞳いっぱいに涙を浮かべそのまま歩いて言ってしまった。

「アラン……」

「仕方ないよアレンくん。私だってあんな感じだったもの」

リナリーは懐かしいものを見るかのようにアランが去っていった方を見た。

やがて、仕事がすべて終わったのか、アランに呼ばれ、3人は昨晩話した部屋へと再び案内された。

「はじめまして、私はリナリー・リー。黒の教団から来たエクソシストです」

「私はアランです」

エクソシストに女性がいると知らなかったアランは少し驚いたようにリナリーのことを見た。

「それで、アランが昨日言っていた条件というのは……」

アランは意を決して口を開いた。

「私もあなた達と一緒に黒の教団へ向かいます。その代わり、条件があります」

「あんた、何言って……」

アランの隣に座っていた女性は涙を瞳いっぱいに浮かべアランを凝視した。
/ 30ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp