第3章 交換条件
「ごめんなさい、おばさん。でも、もう決めたことだから。私はおばさんにも、この街の人にも死んで欲しくない。私が戦うことで少しでもこの街を守れるのなら、私は戦いたい。親不孝な娘でごめんなさい」
アランが真っ直ぐ女性を見つめると、女性は涙をこぼしてアランを抱きしめた。
「本当に、親不孝の娘だよっ……!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、おばさん……」
アランは女性を抱きしめ返すとアレンたちの方を見た。
「私が提示する条件は二つです。一つは、この酒場が仕入れるお酒代を毎月全額支払ってください。私がこのお店を手伝えなくなるんです。おばさんの負担を少しでも減らすため、ご協力ください。そしてもう一つは、ここを離れるまで、5日時間をください」
リナリーは少し悩むような仕草をすると口を開いた。
「わかりました、すべて条件を飲みましょう」
リナリーの返事を聞いてほっとしたのかアランは女性に向かって微笑んだ。
「4日後にこの子のお別れパーティーでも開くかね……」
「あの、くれぐれも街の人たちには、黒の教団へ行くということは内密にお願い致します」
「わかってるさ、おえらいさんがこのこの歌声を聞いて遠くに働きに行くとでもいうよ……」
やがて、街の人たちにアランがいなくなることはすぐに広まり、4日後にお別れパーティーが開かれることになった。
毎日アランの元には男達からたくさんのプレゼントが送られた。
それはリボンであったり、服であったり、様々であった。
「アランはこの街の人から愛されていたのね……」
リナリーがそうつぶやくと、アレンはうなづいた。
「初めて、この街に来た時も思いました。まさか、神にまで愛されるとは思ってもいなかったでしょうね……」
「私たちエクソシストは神に選ばれし使徒……。愛されたと言っても過言ではない……どうか、新しいエクソシストに神のご加護を……」