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DIABOLIK LOVERS MOONLIT NIGHT

第2章 `love at first sight.


side.シュウ

──やけに、喉が渇く。

嗚呼、今日は満月だったな。…それに気付いたのは、随分と後だった。
先に帰ったレイジ達とは別に、俺はまだ校内に残っていた。

…外の音が煩い。窓に当たっている雫を見ると、どうやらそれは雨の様だった。
こっちの方が静かだから睡眠場所に最適だと思っていたが、選択を誤ったか?


──タッタッタッ…


俺以外いない筈の廊下に、一人の足音が近付いていた。

「…煩い。誰……っ、」
「っ…」

座り込んで寝ていた俺の足に、それは引っ掛かって転んだ。最初は、ただのまぬけだと思った。だが違った。

それは、とても美しかったのだ。

俺と同じ魔界の者なのか…銀色の獣耳に、銀色の尾を持っていた。それに加え、容姿端麗でこの世の者とは思えない程に浮世離れしている。

けれど、それは泣いていて。

泣きながら俺の傍までやって来て、『すみませんでした』と云う。…いや。云うというのには、少し語弊があるかも知れない。
だってそれは、“口を動かしただけ”なのだから。


それは、俺を見据える。銀色の…吸い込まれそうで綺麗な瞳だった。





──俺は、一瞬で囚われてしまったのかもしれない。




「…──あんた、名は?」

訪ねるとそれは、今もなお止めどなく流れ続けている涙を拭いながら口を動かした。


『ミオです』



彼女は、ミオと名乗った。
彼女は、ただ無表情のまま泣いていた。


──そんな彼女を見ていて突然、心の奥底から何かが沸き上がってきたのを感じた。

…それは、怒りだった。

彼女をここまで苦しませて、挙げ句に泣かせた…顔も名前も知らない奴に対する激しい怒り。







°love at first sightー一目惚れー

あんたを泣かせた奴は、一体誰だ?

俺はそいつを、赦してやれそうもない。
下手をすれば、殺してしまいそうだ。


俺は既に、あんたに堕ちすぎたのかもな。
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