DIABOLIK LOVERS MOONLIT NIGHT
第5章 `Halloween party.(特別企画:逆巻)
*逆巻カナト*
「こんなとこに居たんですか?」
気が付くと、目の前にはよく知る顔が。
って。
『うわぁ⁉ カナトさん⁉ 何故ここに⁉』
「紙書くのも随分と早くなりましたね。でも、それはちょっと傷付きます…」
テディを抱えながら涙目になった彼に、私は少しだけ焦る。
『あー! ごめんなさい!』
何度も謝罪の言葉を書き続け、その度に彼に見せる。そんな事をかれこれ数分続けていると、彼が急に私を引き寄せて云った。
「本当に悪いと思ってるんですか?」
当然、彼のその言葉に私は即座に頷いた。とにかく、彼を泣かせたくはない。
「なら、何をしたら良いのか分かりますよね?」
『え? 何を…』
「分かりますよね?」
『……はい』
有無を云わせぬ彼に逆らう事が出来ず、結局彼の云った言葉の意味を考え始めた。
“何をしたら良いのか”
全く分からないけれど、そんな答えは勿論無い。
──逆巻家四男。逆巻カナト。彼に何をしたら良いのか…か。
彼は確か、甘いものが好きだった筈だ。
そう思って、パーティー会場に向かおうとする。…が、彼に阻まれてしまった。
「何処へ行くんです?」
『会場へ。 甘いものを取りに』
「…君は本当に馬鹿ですね」
彼の毒舌が今はかなり痛く感じる。
彼に甘いものを食べさせる。それが答えではないのか。
そんな事を考えている間に、私は彼の腕の中に納められていた。
「君は、僕の傍に居ればいいんです」
狂気を孕んだ彼の瞳は、とても鋭い。
けれど、それでも綺麗だと思った。
「ふふ…永遠に離しませんからね」
──どうやら、彼からは永遠に逃れられないようである。