DIABOLIK LOVERS MOONLIT NIGHT
第5章 `Halloween party.(特別企画:逆巻)
*逆巻レイジ*
「こんな所に居たのですね。随分と探しましたよ」
そんな声に振り返ってみると、案の定。眼鏡を掛けた彼が立っていた。
「──月を眺めていたのですか」
彼の言葉に頷く。彼──逆巻レイジは、このパーティーの主催者である逆巻家の次男。
「もうすぐ満月ですね…」
彼が云った。確かに、月は徐々に丸くなっていっている。この分なら、後二日くらいで元の形を現すだろう。
暫く二人で月を見ていると、唐突に彼が切り出した。
「私と、共に踊って下さいませんか」
紅い双眸が、私を射抜く。もう随分と前に、この瞳には囚われ続けている。
彼のこういう所は、全く変わらない。
私が断れないのを、知っているくせに。
私は、彼の手を取った。
「貴方のそういう所は、全く変わりませんね」
彼が静かに微笑する。
「もう少し素直になってくれた方が、此方としても嬉しいのですが」
もう充分素直だよ。そう云えば、彼は笑うだろうか。
静寂に包まれたバルコニー。
ガラス製の扉越しに聞こえてくる喧騒の中。
──どちらからともなく、唇が重なった。