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その後、それから

第1章 最終章 始まりの追憶


「あぁぁぁあああぁぁあああああ」

ユラムは泣き叫んだ。周囲は肉片と血の海となり、通りにも生き物の気配は無くなっていた。
黒いモヤと影はユラムを無視して通りを進んでいった。また次の区画で悲鳴があがる。

ユラムはうずくまり、血の海に顔を埋め泣いた。
セラーとの思い出が、幸せな時間が蘇り、止め処なく涙が流れる。
絶望と過去の幸福の間でユラムは壊れ始めた。この状況に一片の恐怖もなく、ただ憎悪のみがユラムを支配していく。

ユラムはセラーの剣を握り締める。剣の持ち手にはセラーの指が一本だけ絡み付いている。鞘には誰のものかもう分からない血液がたっぷりと溜まっていた。

ユラムは全身の毛が逆立つ感覚に襲われ、血液が沸騰しそうなほど熱くなるのを感じた。
剣の持ち手が耐えきれずにギリギリと音を立て、握り締める拳からはユラムの鮮血がしたたる。

真っ赤な瞳は濁り、ゆっくりとモヤが進んだ方向に歩き始める。
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