第1章 最終章 始まりの追憶
相変わらず通りは混乱しており、真っ二つになった男の周りには野次馬が群がり始めていた。
兵団は酒場で警戒を行う者と、通りの混乱を沈静化させる者で分かれ、事態の収拾に徹していた。
10分が過ぎた頃、通りで避難の手伝いをしていたユラムは悪寒を感じ、酒場を見た。事態を冷静に分析しているセラーは、カウンターの前で酒場の店主や居合わせた客らと何か意見を出し合っているようだった。そのセラーの背後に黒いモヤが見えた。
ユラムは自分が酒を飲んでいることを思い出し、気のせいかと思って目を擦った。しかし次の瞬間、セラーの左肩から先が宙を舞った。