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その後、それから

第1章 最終章 始まりの追憶


150年間、ゼレムとビレニアは友好国として世界を二分し、領土問題、資源問題、財政問題に至るまで、話し合いで解決し、文字通りの友好国として並び立っていた。
3日間かけて行われる軍事演習は、毎年夏の祭りとしても賑わうものだった。
毎年交互に開催国を担い、お互いの国の農産物や新しい科学技術の披露が行われ、2日目以降は催し物が主体となるイベントだった。

礼砲が打たれ幕を閉じた1日目の深夜、今年の開催国ゼレムの王都にはゼレム国民だけでなく、ビレニア国民も多く宿泊し、城下町の酒場も明かりが消えずにいた。
通りにはここぞとばかりに露店が軒を連ねて客を引いている。

18歳になったユラムは法律上飲酒できる歳になった。彼は歩兵兵団に所属し、覚えたての酒を疲れた身体に流し込んだ。

「ユラム!酒を飲むのは構わねえが、二日酔いで訓練参加できませんとか言うんじゃねえぞ!」
先輩のセラーが笑いながらユラムをからかう。
「俺が何度兄貴をおぶって帰ったと思ってんの?俺の方が酒強いんじゃないか?」
ユラムが意地悪い笑顔で返すと、セラーは一本取られたとまわりの兵士と馬鹿笑いした。

3つ歳上のセラーは兵団内でも世話焼きで知られ、生まれつき父親がおらず、母親が病気のために若くして兵団に入ったユラムには特別優しかった。
ユラムもそんなセラーを兄貴と呼び、ただの先輩以上の信頼と尊敬を抱いていた。
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